はじめに
岡崎京子『ヘルタースケルター』解説あらすじを書いていきます。
演出、背景知識
ヌーヴェルバーグ(ゴダール)的な実験手法、青春残酷物語
岡崎京子といえば、映画におけるヌーヴェルバーグの影響を受けた前衛的な手法で知られます。特に影響が顕著なのがジャンリュック=ゴダール監督で、『気狂いピエロ』『勝手にしやがれ』のような青春残酷物語は岡崎京子の特徴(『リバーズ=エッジ』『ヘルタースケルター』)になっています。本作品も同様に、グランギニョルな青春を描いています。北野武監督『あの夏、いちばん静かな海』のような儚い青春の悲劇が描かれます。
自意識過剰なヒロインの破滅
全体的なストーリーとしては、肥大化した自意識と承認欲求を抱えたヒロインの破滅的なドラマが展開されていき、フローベール『ボヴァリー夫人』、ドストエフスキー『罪と罰』などを思わせる内容です。
物語世界
あらすじ
素性不明の人気ファッションモデルのりりこは、全身に美容整形手術を施しています。りりこはその美貌でトップスターになっていくものの、美容整形の副作用とストレスで、衰弱していきます。
結婚を狙っていた御曹司の裏切り、自身を整形した美容クリニックの犯罪を追う者、生まれながらに美しいがゆえ美に執着しない「期待の新人」である後輩のこずえが登場し、りりこは窮地に追い込まれます。そして美容クリニックの違法行為が発覚し、りりこの全身整形のスキャンダルも公開され、マスコミの餌食にされたりりこは記者会見を行います。拳銃を手に入れていたりりこは、自らの頭を撃ち抜くつもりだったものの、幻覚と似た境遇で育った刑事に会ったことで錯乱し、記者会見直前、えぐり抜いた自らの左目を楽屋に残し失踪します。
数年後、将来の目標が特になかったこずえは流されるままモデルを続け、モデルとして確固たる地位を確立していました。海外のロケに出ていたこずえはスタッフに連れられてフリーク=ショーを見学します。そこで出会ったのは、眼帯を着け見世物として出演しているりりこでした。
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