藤子・F・不二雄『ある日……』あらすじ解説

1980年代

始めに

藤子・F・不二雄『ある日……』あらすじ解説を書いていきます。

背景知識、作風

アポカリプスもの

 大規模な戦争、自然災害、疫病などにより文明や人類が死に絶えるまでを描くアポカリプスものや、文明や人類が死に絶えた後の世界を描くポスト=アポカリプスものというジャンルがありますが、本作はアポカリプスものです。

 人類が滅亡するまでを描く本作ですが、特徴的なのは、その伏線のデザインにあります。

伏線がない、という伏線

 本作では、四人のアマチュア映像家がサークルの映写会に集まり、それぞれのフィルムを公開していき、最後に佐久間が「ある日……」というフィルムを公開し、それは平凡な日常が不意にホワイトアウトして核戦争によってほろびる、という筋なのですが、その作品について佐久間が解説しているなか、漫画自体がプツン、という音でホワイトアウトし、人類が滅亡したことが示されます。

 卓越しているのは伏線が終盤までないことが伏線になっていることで、佐久間は「暴力に伏線などない」と語るのですが、実際そのとおりに人類は不意に滅亡を迎えます。

物語世界

あらすじ

 四人のアマチュア映像家がサークルの映写会に集まり、それぞれ「“世界を駆け巡る自分”の映像編集フィルム」、「地域が開発されていく10年間の定点映像」、「スター・ウォーズのパロディ」などを公開します。

 しかしメガネの青年である佐久間だけは全ての作品を「問題意識のかけらも見当たらない」と一蹴します。

 そして佐久間は平凡な日常的が映し出されたフィルム『ある日……』を公開します。日常描写のあと、最後に「プツン…」と映像が途切れ終わります。このことを意味が分からないと皆がいうと、佐久間はそれは核戦争で、ある日突然に人類が滅亡したことを示すといいます。周囲はそれを嘲笑するものの、佐久間はある日は突然にやってくるから、伏線なんてないのだと語ります。

 そして、最後に「プツン…」という文字を残して漫画は白紙になるのでした。

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