新章突入!『ジョジョの奇妙な冒険 第五部』解説あらすじ

荒木飛呂彦

始めに

始めに

 最近ジョジョの新シリーズが始まりました。私もこのシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)のファンです。今回は五部のレビューを書いていきます。

スタイル、ジャンル、背景知識

ルネサンス、バロック風味のリアリズム

 ジョジョというシリーズを特徴づけるのは、なんと言ってもルネサンス、バロック絵画のような、誇張的な筋肉描写です。『北斗の拳』などの先駆もありますが、あちらよりもスタイルとして遥かに洗練されています。

伝奇アクション、スタンド(召喚魔術)

 また、ジョジョというシリーズを特徴づけるのは、三部から登場する幽波紋(スタンド)です。これは守護霊のような存在で、これを召喚、使役し戦うのがこのシリーズの特徴になっています。山田風太郎『魔界転生』、横山光輝『バビル二世』と並んで、バトル漫画に召喚というバリエーションを決定的な存在とした作品です。

やや大味ながら、ゲームメカニクスのように戦略性を巡らせるためにデザインされた世界観

 ジョジョのバトルは、『HUNTER×HUNTER』などと比べるとやや大味でありつつ、ゲームメカニクスのように、その中で戦略をプレイヤーが巡らせられるようにデザインされています。これによって、単なるパラメーターの優劣によって勝負が決まるわけではなく、戦略の駆け引きの機知が描かれます。

機知に飛んだスタンドデザイン。ロックへの造詣の深さ

 とにかくスタンドのデザインは機知に富んでいて、他の追随を許しません。戦闘の駆け引きが大味であっても、この発想の泉のような豊かさに比肩するのは、久保帯人『BLEACH』くらいです。ロックの歌詞やタイトルに準えたスタンドの設定は本当に遊び心に富んでいて、村上春樹や倉多江美くらい音感あります。

 荒木という漫画家はまず読み上手、聴き上手で、それに由来する卓越した新古典主義者としてのパロディの手腕が、第五部だけでなく他のシリーズ作品(1.2.3.4.5.6.7.8)にも冴え渡っています。

バスター=キートン、青池保子、岡野玲子、佐々木倫子のようなシュールな笑い

 ジョジョシリーズは独特のユーモアも癖になります。誇張的な表現、言い回しのシリアスさが産むシュールな印象が笑いを醸成します。キートンの映画や、青池保子、岡野玲子、佐々木倫子と近いかもです。

ギャング映画、任侠映画

 本作はイタリアのマフィアの抗争を描く内容で、『ゴッドファーザー』シリーズ(1.2.3)の影響を窺わせます。主人公のジョルノ=ジョヴァーナはギャングスターに憧れ、弱者を助けるマフィアになりたいと思います。そしてそんな黄金の意志が、ブチャラティという幹部のキャラクターと共鳴し、組織への戦いを繰り広げていくことになります。

五部のテーマは、運命と覚悟。意志の継承による文化進化

  五部のテーマは運命と覚悟です。それから未来へと受け継がれる意志です。これはほとんどシリーズを貫く主題と言っていいでしょう。主人公ジョルノへと、もう一人の主人公ブチャラティから受け継がれる意志が見どころです。『ゴッドファーザー』シリーズ(1.2.3)とは、旧世代をネガティブに捉えている点で対照的です。

 また己の定めを受け入れ、最後まで他者を思いやることを忘れなかったブチャラティと、自身の栄華という結果だけを追い求め、運命を支配しようとするディアボロが対比的に描かれています。

フィクション世界

あらすじ

 イタリア。主人公ジョルノ=ジョヴァーナはギャングスターに憧れ、マフィア・パッショーネを内側から善きものへと変える変革の風たらんとしています。そこでギャングの幹部・ブローノ=ブチャラティと邂逅、思いを共有し…

ベストバウトなど

・ギアッチョVSミスタ:ギアッチョのスタンド「ホワイトアルバム」は、周囲を低温で凍らせる能力です。ギアッチョがこの能力を縦横に駆使して、ブチャラティチームのミスタを苦しめます。

・ドッピオVSリゾット:リーダー同士の対決です。ドッピオは「キング=クリムゾン」の予知能力、リゾットは「メタリカ」の鉄をあやつる能力で戦います。『マクベス』を思わせる、不可避の預言の乗り越えに見える機知が見どころです。

総評

シリーズ代表作

3~5部はシリーズの中でも最も充実した時期の作品です。おすすめ。

関連作品、関連おすすめ作品

コメント

You cannot copy content of this page

タイトルとURLをコピーしました