吉田秋生『BANANA FISH』はつまらない?!解説あらすじ

や行の漫画作者

始めに

始めに

今日は吉田『BANANA FISH』についてレビューを書いていきます。

スタイル、背景知識

大友克洋流のリアリズム

 吉田秋生『桜の園』に関する記事でも書きましたが、吉田は大友克洋流のリアリズムからの影響が顕著です。またニューシネマやその系譜を継ぐリアリズムベースのヤングアダルト映画の影響が顕著です。本作も主人公・アッシュ=リンクスのモデルはリバー=フェニックスと思われ、フェニックスの主演したヤングアダルト映画などからの影響を窺わせます。

 本作もマンハッタンの乾いた無国籍な雰囲気をリアリスティックに演出します。大友よりも少ない線で端正な描写が印象的です。

吉田秋生のいいところ、悪いところ

 是枝監督『海街diary』(吉田秋生原作)に関する記事で是枝の美点と欠点について書きましたが、吉田も似たような欠点があり、吉田秋生は日常を描く小品には佳作が多いのですが、サスペンスやミステリなどプロットの因果的連なりを緻密にデザインするような作品は得意でないです。後続のよしながふみ(『西洋骨董洋菓子店』)の方が話を作るのはずっとうまいです。

 本作も、ハリウッドヤングアダルト映画風のコスプレ漫画として読む分にはいいですけど、本当に話がグダグダです。そもそもタイトルのバナナフィッシュの謎も大友『AKIRA』の「アキラ」の正体の謎のモノマネのようですが、『AKIRA』のアキラがそんなに本編に関係ないの以上に『BANANA FISH』のバナナフィッシュ(サリンジャーの『ナイン=ストーリーズ』に由来)は本編に中盤以降は絡まないです。『DRAGON BALL』のドラゴンボールみたいな感じです。

 あと『AKIRA』の鉄雄のモノマネみたいな、オールバックで主人公へのコンプレックスが強い宿敵オーサーが離脱してからは、本当に敵らしい敵もいなくなってグダグダです。

 とはいえ、ロケーションやムードの描写など、雰囲気漫画としてはそこそこです。

ワンパターンなサスペンス

 本作は浦沢直樹の漫画とかみたいな感じで、サスペンスの引き伸ばしがひどいです。それと物語が最初と最後しか進まず、各エピソードもあまり連続性がなく、羅列の印象です。

 『ゴッドファーザー』シリーズ(1.2.3)からそのまんま出てきたみたいなマフィアのゴルツィネとの因縁とか、もっと上手く膨らませられなかったのかと思います。

 毎回エイジあたりが敵に捕まってアッシュが助けに行ってまた誰か捕まってまたアッシュが…みたいなのが延々繰り返されます。そんな血を吐きながら続ける『アンパンマン』じみた救出劇がループします。

アクションシーン

 とはいえ、アクションシーンは結構よく描かれていて見ごたえがあります。とくにオーサーとの列車でのガンアクションは素晴らしいです。全体的にアクションシーンは本当によく描けていて、引き込まれます。

物語世界

あらすじ

 ストリート・キッズのボスであるアッシュ=リンクスは、コルシカ・マフィアのボス・ゴルツィネの指示で銃撃された男から「バナナ=フィッシュ」という言葉を耳にします。それは廃人となった兄・グリフィンが時折口にする言葉です。アッシュはその正体を探ります。

 日本人の大学生・奥村英二は取材を通じてアッシュと邂逅します。やがてアッシュと「バナナ・フィッシュ」を巡る物語に巻き込まれていきます。

総評

微妙な作品

 しばしば作家には大味で大ヒットした作品がその代表作のように扱われてしまうある意味不幸な現象が起こりますが、これもその一つです。吉田秋生が不得意なジャンルで普通に失敗しています。

関連作品、関連おすすめ作品

・ヘミングウェイ「キリマンジャロの雪」:作中に登場します。

・ガス=ヴァン=サント監督『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』:天才青年の孤独と救済。

参考文献

・南信長『現代マンガの冒険者たち』

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