始めに
今日は鬼頭『ぼくらの』についてレビューを書いていきます。
背景知識,ジャンル
青春残酷物語SF,並行世界SF
本作品は『新世紀エヴァンゲリオン』(TVアニメ版)や『十三機兵防衛圏』のような青春残酷物語SFになっています。ジアースと出会い、地球の命運を分ける戦いに臨む主人公たちの活躍が描かれます。
それぞれの並行世界の存亡をかけた戦いが描かれる、グロテスクな戦争SFになっています。
死に臨んだ生の哲学,ジョージ秋山的リアリズム
本作品はトルストイ『イワン=イリイチの死』や黒澤明監督『生きる』のような、死に臨んだ少年少女の生の哲学をめぐる作品になっています。あるものは死に怯え暴走し、あるものは自身の復讐を果たそうとし、あるものは家族のために戦おうとします。それぞれうちに秘めたものが三者三様であって見応えのあるドラマになっています。
本作ではジョージ秋山作品(『ザ=ムーン』)への数多くのオマージュが見えますが、ジョージ秋山にも似た陰鬱でヘビーなドラマが展開されていきます。
オムニバスだが内容にはムラ
本作品は全ての焦点化がなされる少年少女が主人公といえますが、描写の出来にはムラがあります。
特にチズのエピソードなどは陰惨なだけでめちゃくちゃです。姉のキャラクターも軸がブレブレで、姉の的をいているようで無理がある説教(レイプされた妹にお前にも責任あるやんみたいなことを聖女風に言う)で目が覚める、みたいな展開も無理があります。
物語世界
あらすじ
夏休みに自然学校に参加した少年少女15人は、海岸沿いの洞窟でココペリと名乗る謎の男に出会います。子供たちは、ゲームをしないかとココペリに誘われます。ゲームの内容は無敵の巨大ロボットを操縦し、地球を襲う巨大な敵を倒して地球を守るというもです。兄のウシロに止められたカナを除く14人は、ただのコンピュータゲームだと思い、ココペリと契約を結びます。
その後、黒い巨大なロボットと敵が出現し、コエムシと名乗るぬいぐるみも現れます。ロボットの中のコックピットに転送された子供たち15人の前には、ココペリとコエムシが待っていました。戦闘を重ねるにつれ、子供たちはゲームの真の意味知ります。
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