荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 第三部』解説あらすじ

荒木飛呂彦

始めに

始めに

 今日は荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 第三部』についてレビューを書いていきます。

スタイル、演出、背景知識

年代記

 シリーズを特徴付けるのは、年代記としてのデザインです。

 年代記としてのデザインはスタインべック『エデンの東』の影響が知られ、さながらゾラ(『居酒屋』『ナナ』)のルーゴン・マッカール叢書のように、特定の血族の変遷を追いかけていきます。

 主人公となるのはジョースター家の血を引き継ぐキャラクターたちで、それがディオの系譜を継ぐキャラクターと死闘を繰り広げます。

伝奇アクション、スタンド(召喚魔術)

 また、ジョジョというシリーズを特徴づけるのは、三部から登場する幽波紋(スタンド)です。これは守護霊のような存在で、これを召喚、使役し戦うのがこのシリーズの特徴になっています。山田風太郎『魔界転生』、横山光輝『バビル二世』と並んで、バトル漫画に召喚というバリエーションを決定的な存在とした作品です。

ジョジョの最高傑作(?)

 世間的にはシリーズの最高傑作は3.4か次いで5.7という声が多いです。私も実際そうだと思います。1.2は波紋というアクションがあまり面白くないですし、キャラクターは魅力的であってもバトル漫画としての方向性が固まる前の作品で、まだ独自の路線を確立する前段階だと思っています。

 第三部においてスタンドバトルという召喚魔術というアクションが確立したことで、本作は独自のバトル漫画の路線を打ち立てました。これは『NARUTO』の尾獣や『HUNTER×HUNTER』の念能力など、多くの追従者を生みました。

 本作と4部は、特にスタンドバトルの描写が安定しています。バトル漫画に期待されるのは、特定のモチーフから膨らませられるアクションのバリエーションの機知だったり、相手の特性を理解した上での戦略的立ち回りに見える機知であると思います。例えばシリーズでいうと吉良吉影、ギアッチョ、徐倫などは、それぞれ爆弾、氷、糸というモチーフからアクションの膨らませ方がうまいです。また戦略的立ち回りに関してはガイル、ンドゥール、ダービー兄弟などとの戦いにそうした色合いが顕著です。バトル漫画に期待されるアクションのデザインと戦略性の機知が充実しています。

ロードムービー、吸血鬼ホラー

 本作品は宿敵・DIOの居城を目指して旅する一行の道中記で、勢いのあるドラマで読ませます。1で死んだはずのDIOでしたが、吸血鬼としての生命力から首だけで生きていてジョナサン=ジョースターの胴体を乗っ取って生きていたという山田風太郎『伊賀忍法帖』の影響と思しき展開によって生存することになりました。

 吸血鬼ホラーとしては、『鬼滅の刃』などへと影響した本作です。

物語世界

あらすじ

 「悪霊」にとりつかれたとして、家族のために留置場に自ら閉じこもった空条承太郎のもとに、祖父のジョセフ・ジョースターとその友人モハメド・アヴドゥルが訪れ、承太郎の「悪霊」の正体が精神エネルギー「スタンド」だと説明します。
 かつてジョセフの祖父・ジョナサンと戦った吸血鬼・DIOの棺が海底から引き揚げられていました。彼はジョナサンの首から下を奪い、海底で生き延びていました。復活してスタンド能力を得たDIOは世界征服を目論んでいました。
アヴドゥルは、DIOが奪い取ったジョナサンの肉体から血縁者同士の影響を受けたのだと承太郎に告げます。

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