庵野秀明監督『新世紀エヴァンゲリオン』解説あらすじ

庵野秀明

始めに

 庵野秀明監督『新世紀エヴァンゲリオン』についてレビューを書いていきます。

背景知識、ジャンル

興行としてのモダニズムSF、ジュヴナイルSF

本作品は庵野監督の代表的な作品として知られており、多くのフォロワーが生まれました。本作品が画期的だったのは、モダニズム文学の非線形の語り口を作品に取り込んで観客の考察を強いる内容にすることで、それをイベントとして口コミ戦略にするという企画のコンセプトが卓越していたところです。当時黎明期だったインターネット文化と連動して、圧倒的な規模のコンテンツに成長していきました。

安部公房のようなモダニスト作家もまず売れること、商品として成功することを第一に考えていたと言いますが、庵野秀明さんもマインドが実業家で、ビジネスとして商品を戦略的に展開する手腕に長けています。

 モダニズム文学、SFのルーツとなったエリオット『荒地』、ジョイス『ユリシーズ』のような神話的象徴の主題もここには見えます。

ヌーヴェルバーグ、松竹ヌーヴェルバーグ、東宝モダニズム

 本作はモダニズム映画からの影響も顕著に感じさせます。例えばヌーヴェルバーグのゴダール監督『気狂いピエロ』のような青春残酷物語に仕上がっています。ニコラス=レイを思わせる陰鬱なファミリーメロドラマ的なリアリズムが展開されていきます。

 邦画では寺山修司、大島渚といったモダニズム、アングラ映画の影響を感じさせる晦渋な内容になっています。

 また東宝映画、東宝のモダニズム文化からの影響が顕著です。例えば市川崑や岡本喜八などです。岡本喜八監督『日本の一番長い日』にも似たマクロな政治劇は『シン=ゴジラ』へと継承されていきます。またエヴァや使徒の洗練されたフォルムは東宝の巨匠円谷英二作品からの影響を顕著に感じさせます。ウルトラシリーズはまた、佐々木守や実相寺昭雄など、戦前からのモダニズム映画やヌーヴェルバーグに示唆を受けた作家が手がけた文化でもあります。

物語世界

あらすじ

 物語の舞台は西暦2000年9月13日に起きた大災害セカンドインパクトによって世界人口の半数が失われた世界です。その15年後の西暦2015年、主人公で14歳の少年碇シンジは、別居していた父、国連直属の非公開組織・特務機関NERVの総司令である碇ゲンドウから突然第3新東京市に呼び出され、巨大な汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機のパイロットとなって謎の敵「使徒」と戦うことを命じられます。

 当初はゲンドウの命令と少女綾波レイの負傷を見てやむなくEVAに乗っていたシンジですが、使徒との戦い、そして戦闘指揮官で保護者役の葛城ミサト、同級生鈴原トウジ・相田ケンスケらとの交流によって次第に自らの意思でEVAで戦うようになります。新たにドイツから来日したEVA弐号機のパイロットの惣流・アスカ・ラングレーが仲間に加わります。

参考文献

・安部ねり『安部公房伝』(2011,新潮社)

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