松井優征『暗殺教室』あらすじレビュー

2010年代

始めに

松井優征『暗殺教室』解説あらすじを書いていきます。

背景知識、作風

殺し屋もの

 本作は殺し屋たちを描く物語と言えます。

 また、殺し屋ものと学園もののハイブリッドなジャンルです。シチュエーション的には高見『バトル・ロワイアル』などとも重なりますが、本作の設定はかなり独創的です。

 本作においては、進学校「椚ヶ丘中学校」の成績・素行不良者を集めた3年E組の元に防衛省の人間と、異形の生物(殺せんせー)がやってきて、殺せんせーは「来年3月までに自分を殺せなければ地球を破壊する」ことを宣言し、「椚ヶ丘中学校3年E組」の担任教師となります。生徒たちは暗殺の賞金などもあって、必死に暗殺をしようと試み、やがて殺せんせーの正体などが明らかになっていく、という流れです。

ボーボボから連作短編へ

 もともと松井優征は『ボボボーボ・ボーボボ』の澤井啓夫のアシスタントだったので、根底にはボーボボ的なナンセンスギャグとしてのテイストが強いです。

 しかし本作は中盤から、一話完結ではなく長い一本の筋が形成されていきます。一話完結のストーリーから次第に連作短編としての全体性が形成されていく週間連載のスタイルは『魔人探偵脳噛ネウロ』などから継承されています。

物語世界

あらすじ

 ある日突然、進学校「椚ヶ丘中学校」の成績・素行不良者を集めた3年E組の元に防衛省の人間と、異形の生物がやって来ます。マッハ20で空を飛び、月の7割を破壊しまったその生物は「来年3月までに自分を殺せなければ地球を破壊する」ことを宣言し、「椚ヶ丘中学校3年E組」の担任教師となります。

 政府は戸惑うものの、3年E組の生徒に「謎の生物の暗殺」を依頼します。生徒たちも混乱しつつ、成功報酬の100億円のためにやる気を出します。

 謎の生物=殺せんせーの存在とその目的を把握しているのは各国の首脳陣に限られます。また、生徒たちには殺せんせーのことは口外禁止とし、また殺せんせーは生徒に危害を加えてはいけないめのの、その家族や友人にはそうではない、というルールが課せられます。

 しかし、多くの生徒たちは殺せんせーの指導と手入れにより暗殺教室を楽しみ、前向きな学校生活を送ります。

 そして生徒の他にも殺せんせーを暗殺するため、世界中から暗殺者が送り込まれます。

所感

非凡な構成力

 『魔人探偵脳噛ネウロ』からしてそうでしたが、非凡な構成力と、豊富なエピソードが作品には見受けられます。

 週刊連載というフォーマットのなかで、週のそれぞれに起承転結や見せ場を設定しつつ、さらにそれを全体性のなかで体系的にまとめる手腕は脱帽です。

ネガティブな印象も

 しかし、少しネガティブな印象もして、細かいネタの尖り具合は、ネウロよりも落ちているというかマイルドになっている気はします。

 それと、作品のコンセプトも、「暗殺を通じた生徒の成長」というのも、倫理的にもやもやします。

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