始めに
小畑健作画『DEATH NOTE』解説あらすじを書いていきます。
背景知識、作風
サイコサスペンス
物語はサイコサスペンスとされます。
このジャンルの先駆となったのはデミ監督『羊たちの沈黙』でしたが、本作もそうした作品と重なり、警察サイドがプロファイリングを駆使した捜査を展開していきます。
また、こうしたジャンルの枠組みの中で少年漫画を展開した『魔人探偵脳噛ネウロ』がありましたが、本作もそんな感じでファンタジーもの、バトル漫画の様式をうまくサイコサスペンスにフュージョンしています。
ジョジョ以降のバトル漫画
本作はジョジョ3部以降が決定付けた、召喚を駆使した、戦略性と駆け引き重視のバトル漫画の様式を備えつつ、それをサイコサスペンスの枠組みのなかで展開しています。
「デスノート」は、ノートに名前を書くことで相手を殺せる道具で、これにはさまざまな制約があって、これを踏まえて主人公の月は犯罪者を殺していき、ライバルのlなどと争います。
物語世界
あらすじ
警察庁刑事局長・夜神総一郎の長男で、現役で東応大学への進学間違いなしの秀才高校生の夜神月はある日、通っている高校の敷地内で奇妙な黒いノートを拾います。それは死神リュークが落とした、そこに名前を書かれた人間が死ぬというデスノートでした。
ノートの所有権を得た月はリュークが見えるようになり、ノートに課せられたルールを理解し、確かめます。そして、自らの「正義」を執行し、犯罪者のいない新世界を実現するため世界中の犯罪者たちの名をノートに書いて殺します。
やがて月の行為はインターネットを中心に世界中に認知され、法では裁ききれない犯罪者を葬る殺し屋としての謎の執行者は「キラ(KIRA)」と呼ばれだし、中にはキラを神とあがめる者まで現れます。これに伴い世界各国で犯罪そのものが減少したものの、各国の警察機構の側からすればキラは大量殺人者でした。
キラの存在と謎に満ちた能力を認知したICPO(インターポール)は、謎の名探偵L(エル)にキラ事件の調査を頼みます。Lはプロファイリングによりキラの人物像を、優秀な頭脳を持った学生で近親者に捜査情報を知る立場の人間がいる者と推察します。Lは罠を仕掛け、キラの活動拠点が日本の関東地方にあると推察し、旧知のFBI捜査官レイ=ペンバーを潜入させます。しかしレイは逆に月に利用されてほかの潜入捜査員の情報を月に与えて、殺害されます。
所感
独創的だが完成度は
本作は企画の着想、ギミック、コンセプトなどに関しては、ジャンプ漫画やサスペンスの文脈の伝統をよく学んだ卓越したセンスを見せています。また、画力も『ヒカルの碁』から、小畑健の力量は圧倒的です。
他方でストーリーはイマイチです。とにかくサスペンスとしてのプロットも引き伸ばしが酷くてグダグダなのもそうですが、心理戦とか駆け引きのパートがあまりにもちゃっちい子供だましみたいなレベルで、天才同士の心理戦を演出する引き出しが原作者に十分備わっていないと感じます。
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