島本和彦『逆境ナイン』あらすじレビュー

1980年代

始めに

島本和彦『逆境ナイン』解説あらすじを書いていきます。

 

背景知識、作風

スポ根漫画のパロディ

 本作は主人公不屈闘志ら全力学園野球部に次々と襲い掛かる「逆境」に、不屈らが不屈の闘志で挑むという物語です。

 全体的に梶原一騎の『巨人の星』などに代表されるスポ根漫画のパロディとなっています。『巨人の星』の極端なマチズモ、仰々しい言い回し、極端な展開、暑苦しさを踏まえつつ、本作はそのパロディとして展開しています。

 梶原『巨人の星』の、名言ぽいけど冷静に考えるとなんかおかしい教訓みたいなセリフが作中のなかで何度も現れ、それが喜劇を生みます。

洗練されたモダニズム

 島本和彦は、石ノ森章太郎からの影響が顕著で、そのモダニズム的センスから影響を受けています。

 石ノ森は、非常にモダンな感覚の持ち主で、企画がいずれもハイセンスで、手塚治虫と違って企画として滑っている作品が少しもなく、打率は横山光輝や岡本喜八くらい高かったのでした。

 島本もそうした軽妙洒脱でモダンな趣味にあふれた石ノ森の感覚を継承し、独自のスタイルを展開しています。このあたりは大学同期の庵野とも重なります。

 本作も単なるギャグ漫画でなく、スタイルとして洗練されたモダンセンスを感じさせます。

物語世界

あらすじ

 校長室に呼ばれた野球部キャプテンで主人公の不屈闘志は、突然、校長から野球部の廃部を命じられます。

 不屈は部の存続のために「甲子園大会での優勝」を宣言し、その決意の証明として、春の甲子園ベスト8である日の出商業を練習試合で倒します。

 そこから全力学園の快進撃が始まります。

所感

ハイクオリティな梶原パロディ

 本作はハイセンスな梶原一騎パロディです。

 全体的にコメディとスポ根要素のバランス感覚が冴えていて、絶妙な塩梅で物語が展開されます。

 

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