葦原大介『ワールドトリガー』あらすじレビュー

2010年代

はじめに

葦原大介『ワールドトリガー』解説あらすじを書いていきます。

 

演出、背景知識

世界観

 異世界からの侵略者・近界民(ネイバー)と防衛組織・ボーダーの戦いを描くSFアクションです。

 この手のものでは珍しく、主人公勢力同士の練習試合、ランク戦がかなりのボリュームをもって展開されていて、それも見どころになっています。

 ボーダーが使用・管理している道具がトリガーで、こちら側の世界にとって、トリオン兵に対抗できる唯一の武器がトリガーです。これを用いたボーダーたちのバトルが展開されます。

バトル漫画としての独自性

 本作のバトル漫画としての独自性は集団戦を中心に据えているところです。

 ジョジョ3部以降のバトル漫画は、能力の発想の基地、属性じゃんけん、それを破る戦略性などが重視されてきましたが、本作では、さまざまなトリガーを駆使するボーダー同士の集団戦における連携がバトルの肝になっていて、ビデオゲームにおけるデッキビルド的なシナジーのうむ戦略性の機知が独特の魅力になっています。

物語世界

あらすじ

 28万人が住む「三門市」に、突然異世界への「門(ゲート)」が開きます。門からは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる怪物が現れ、安寧を脅かしますが、謎の一団が現れ近界民を撃退します。一団は界境防衛機関「ボーダー」を名乗り、近界民に対する防衛体制を整え、門からは近界民が出現する事態は変わらないものの、三門市には日常が戻ります。

 門が初めて開いてから4年半。三門市にやってきた空閑遊真が、三雲修に出会い、物語は始まります。

所感

尖っているものの…

本作は全体的に尖った魅力はあるものの、とはいえ覇権を取れるほどのポテンシャルは感じられず、中堅漫画にとどまります。

 何がまずいかというと、やはり画力や演出力、全体的なキャラクターや世界観のデザインセンスに尽きると思います。

 本作は集団性など、固有の要素はあるものの、全体的にキャラクターも世界観のデザインも凡庸で、印象的な要素が希薄です。画力もそれなりですが、漫画的な演出力は圧倒的というのでもありません。

 『ライアーゲーム』が『銀と金』と比べても、ギャンブル漫画として、ゲームメカニクスのデザインはしっかり構築されているのにぱっとしないのと同様に、要素レベルでは独自の魅力はあっても全体的に演出やキャラクター、世界観周りの構築センスに独自の魅力が感じられず、それゆえにとがった部分はあっても作品としての弱さを感じる内容になっています。

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