『ジョジョの奇妙な冒険 第八部』あらすじレビュー

2010年代

はじめに

『ジョジョの奇妙な冒険 第八部』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

年代記

 シリーズを特徴付けるのは、年代記としてのデザインです。

 年代記としてのデザインはスタインべック『エデンの東』の影響が知られ、さながらゾラ(『居酒屋』『ナナ』)のルーゴン・マッカール叢書のように、特定の血族の変遷を追いかけていきます。

 主人公となるのはジョースター家の血を引き継ぐキャラクターたちで、それがディオの系譜を継ぐキャラクターと死闘を繰り広げます。

伝奇アクション、スタンド(召喚魔術)

 また、ジョジョというシリーズを特徴づけるのは、三部から登場する幽波紋(スタンド)です。これは守護霊のような存在で、これを召喚、使役し戦うのがこのシリーズの特徴になっています。山田風太郎『魔界転生』、横山光輝『バビル二世』と並んで、バトル漫画に召喚というバリエーションを決定的な存在とした作品です。

やや大味ながら、ゲームメカニクスのように戦略性を巡らせるためにデザインされた世界観

 ジョジョのバトルは、『HUNTER×HUNTER』などと比べるとやや大味でありつつ、ゲームメカニクスのように、その中で戦略をプレイヤーが巡らせられるようにデザインされています。これによって、単なるパラメーターの優劣によって勝負が決まるわけではなく、戦略の駆け引きの機知が描かれます。

機知に飛んだスタンドデザイン。ロックへの造詣の深さ

 とにかくスタンドのデザインは機知に富んでいて、他の追随を許しません。戦闘の駆け引きが大味であっても、この発想の泉のような豊かさに比肩するのは、久保帯人『BLEACH』くらいです。ロックの歌詞やタイトルに準えたスタンドの設定は本当に遊び心に富んでいて、村上春樹や倉多江美くらい音感あります。

 荒木という漫画家はまず読み上手、聴き上手で、それに由来する卓越した新古典主義者としてのパロディの手腕が、第五部だけでなく他のシリーズ作品(1.2.3.4.5.6.7.8)にも冴え渡っています。

物語世界

あらすじ

 スティール・ボール・ラン・レースから120年後。2011年3月11日に起きた大震災は杜王町の地形を変え、「壁の目」という土地を出現させます。

 約半年後、広瀬康穂は壁の目で土に埋もれた青年を発見するものの、青年は記憶を失っていました。東方家に引き取られて東方定助と名付けられた青年は、康穂の協力を得ながら、自分と関係している「吉良吉影」のことを知ります。

 定助は東方家には遺伝性の奇病があると知ります。吉影の母である吉良・ホリー・ジョースターは病にあってTG大学病院に入院中で、東方つるぎは発病を控えています。虹村京、東方憲助、東方常敏らは身内を救うため、行動します。

 定助は過去の定助を知る男・八木山夜露と戦い、夜露が岩人間と知ります。夜露は死ぬものの、「ロカカカの果実」という手がかりを残します。その後、定助は岩人間たちと戦う中で作並カレラと出会い、空条仗世文という名前を知ります。やがて、岩人間たちのリーダー・田最環が東方家を訪れてスタンド能力を発動し、東方家は危機に。定助は田最環を倒し、自身が吉良吉影と空条仗世文が融合した存在であることを知ります。

 定助はホリーを助けたいと考え、「ロカカカの接ぎ木の枝」を追います。憲助は枝を探すための人員として植物鑑定人・豆銑礼を紹介してくれます。一方、常敏も接ぎ木の枝を狙います。接ぎ木の枝は、戦実は常敏とつるぎが結託して密かに入手することになります。

 定助たちはTG医大病院を探り、岩人間たちを率いるTG大学病院院長・明負悟にたどり着きます。院長はロカカカの研究成果を表社会に発表、同時に康穂の元恋人の透龍が現れ、定助たちの間に軋轢が起こります。定助は病院に入り込み、院長と対決します。康穂は、新ロカカカを狙う真の黒幕透龍の企てに気づくも、重傷を負います。

 院長には攻撃が通じず、礼と京が敗れ、東方邸でも常敏が厄災で死亡します。しかし定助は康穂との連携で透龍に攻撃。2個の新ロカカカは、1個を康穂が摂取、もう1個を透龍が摂取します。透龍は、等価交換で傷を治すために康穂に向かうも定助と康穂と交戦し、花都にやられます。

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