『ジョジョの奇妙な冒険 第7部』あらすじレビュー

2000年代

はじめに

『ジョジョの奇妙な冒険 第7部』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

年代記

 シリーズを特徴付けるのは、年代記としてのデザインです。

 年代記としてのデザインはスタインべック『エデンの東』の影響が知られ、さながらゾラ(『居酒屋』『ナナ』)のルーゴン・マッカール叢書のように、特定の血族の変遷を追いかけていきます。

 主人公となるのはジョースター家の血を引き継ぐキャラクターたちで、それがディオの系譜を継ぐキャラクターと死闘を繰り広げます。

伝奇アクション、スタンド(召喚魔術)

 また、ジョジョというシリーズを特徴づけるのは、三部から登場する幽波紋(スタンド)です。これは守護霊のような存在で、これを召喚、使役し戦うのがこのシリーズの特徴になっています。山田風太郎『魔界転生』、横山光輝『バビル二世』と並んで、バトル漫画に召喚というバリエーションを決定的な存在とした作品です。

やや大味ながら、ゲームメカニクスのように戦略性を巡らせるためにデザインされた世界観

 ジョジョのバトルは、『HUNTER×HUNTER』などと比べるとやや大味でありつつ、ゲームメカニクスのように、その中で戦略をプレイヤーが巡らせられるようにデザインされています。これによって、単なるパラメーターの優劣によって勝負が決まるわけではなく、戦略の駆け引きの機知が描かれます。

機知に飛んだスタンドデザイン。ロックへの造詣の深さ

 とにかくスタンドのデザインは機知に富んでいて、他の追随を許しません。戦闘の駆け引きが大味であっても、この発想の泉のような豊かさに比肩するのは、久保帯人『BLEACH』くらいです。ロックの歌詞やタイトルに準えたスタンドの設定は本当に遊び心に富んでいて、村上春樹や倉多江美くらい音感あります。

 荒木という漫画家はまず読み上手、聴き上手で、それに由来する卓越した新古典主義者としてのパロディの手腕が、第五部だけでなく他のシリーズ作品(1.2.3.4.5.6.7.8)にも冴え渡っています。

物語世界

あらすじ

 19世紀末、アメリカ。6,000kmにも及ぶ、過酷きわまる北アメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」が行われています。

 主催者スティールによる記者会見が行われ、レースが始まろうとします。他方、ジョニィ・ジョースターはジャイロ・ツェペリと出会い、レースへの参加を決めるのでした。
 ジャイロはディエゴ・ブランドーらと接戦になり、鉄球の力で一位となりますが、鉄球がサンドマンへの走行妨害とされ21位になります。

 ジャイロはジョニィを認め、協力して砂漠越えをしようとします。ジャイロとジョニィはブンブーン一家の襲撃を受けるものの、マウンテン・ティムに助けられ、スタンド能力について知ります。またジョニィは「聖なる遺体」の左腕を手に入れ、レースの真の目的が、アメリカ政府が遺体の全身を集めることだということを知ります。
 ジャイロとジョニィは、ディエゴの襲撃を受けるものの撃退します。遺体の右眼をジャイロが、左眼をディオが得ました。
 遺体を探すホット・パンツがジャイロとジョニィに接触。レースの真の目的を知ったルーシー・スティールは、遺体の脊椎を手に入れます。しかし大統領に狙われ、マウンテン・ティムがルーシーを守って死にます。
 ディエゴと大統領が接触。ジャイロとジョニィは、ディエゴと手を組んだサンドマンと戦闘、ジョニィは「黄金の回転」Act2でサンドマンを倒します。
 ルーシーは、大統領夫人に成り代わって潜伏します。一方、ジャイロへの刺客として鉄球使いのウェカピポが送り込まれます。
 やがて大統領がみずからジャイロとジョニィの前に姿を現し、遺体を奪います。ディエゴの遺体は大統領に強奪されます。続いてルーシーが最後の遺体「頭部」を懐胎し、そのまま全身が遺体に変質します。

 大統領はルーシーを連れて列車でニューヨークへ向かい、ディエゴとホット・パンツが大統領に敗れます。ジャイロは「黄金の回転」で大統領に挑むも敗れ、ジョニィが大統領に「黄金の回転」Act4で倒します。ジャイロは死にますが、ジョニィは自分の足で立って歩けるようになっていました。
 大統領に連れてこられたもう一人のディエゴが遺体を盗みレースが続行。ジョニィとディエゴの最終決戦で、ジョニィは紙一重でディエゴに敗れます。

 その後、ディエゴはルーシーの不意打ちによって、あっけなく死ぬのでした。

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