武論尊原作『北斗の拳』あらすじレビュー

1980年代

はじめに

武論尊原作『北斗の拳』あらすじレビューを書いていきます。

 

演出、背景知識

香港映画とポストアポカリプス

 本作はポストアポカリプスものです。

 大規模な戦争、自然災害、疫病、異星人、機械生命体などにより、文明や人類が死に絶えるまでを描くものをアポカリプスもの、ほとんど死に絶えた後の世界を描くものをポスト=アポカリプスものと言います。

 ポストアポカリプスものとしての様式、アートワーク、ケンシロウの性格などは、映画『マッドマックス2』の影響があります。

 またカンボジア内戦を描く『キリング・フィールド』に影響され、暴力と虐殺が支配する世界を描きます。

 また全体的にブルース=リーの香港映画の影響が顕著で、カンフーによって戦う主人公を描きます。他方で秘孔を使ったアクションなど、独自の要素もあります。

秘孔

 本作を代表するアクションが経絡秘孔です。

 経絡秘孔は東洋医学の用語です。これは気の流れるルートとされ、鍼灸ではここを刺激します。

 本作ではその要所(秘孔)を突くことで敵を破裂させたり、強化したりできる設定です。

 この経絡秘孔を用いた人体破壊と断末魔はバリエーションが豊富で、本作の大きな魅力になっています。

物語世界

あらすじ

 西暦199X年、世界は核の炎に包まれます。
国家が機能を失い、暴力が支配する核戦争後の大地で、一子相伝の暗殺拳北斗神拳の伝承者ケンシロウはかつての親友で南斗聖拳の伝承者シンに七つの傷を胸に刻まれ、許嫁のユリアを奪われます。
 ケンシロウは冷酷な復讐鬼となり悪党たちを倒します。旅のなか出会ったリンやバットを連れて、ケンシロウは関東一円を支配する「KING」の首領、シンと再会し破りますが、ユリアは転落死を遂げたと伝えられるのでした。
 旅の中でケンシロウは南斗六聖拳の伝承者たちと出会い、レイと親しくなります。またケンシロウを騙って暴虐の限りを尽くすジャギなど、かつての伝承者候補だった3人の師兄たちの生存を知ります。ケンシロウにとって恩人で、真の伝承者となるはずのトキの消息が気がかりでした。

所感

全体的に勢いだけの作品

 全体的には古いスタイルの劇画で、勢いだけの作品です。

 ジャンプには、『ドラゴンボール』『スラムダンク』など、前衛的で洗練された語り口や演出の作品も多くありますが、本作は古いスタイルの劇画のなかに、梶原一騎的なバロックな既知のあるアクションを豊富に孕ませた感じです。

 マカロニ・ウェスタンとか、ニューウェーブ時代劇の影響で、ブラックコメディとスラップスティックな笑いも多いですが、全体的には大味で、ネタ漫画みたいな感じです。

ラオウ死後

 ラオウの死後は構想する期間が短かったそうで、話の流れが急に適当になります。

 ただファルコとか印象的なキャラクターや展開も少しあったり、終盤の北斗神拳の強さの秘訣を伝える展開や、エピローグ的エピソードなどは、作品を締めくくるにふさわしいものと思っていて秀逸です。

 

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