鳥山明『ドラゴンボール』あらすじレビュー

1980年代

はじめに

鳥山明『ドラゴンボール』解説あらすじを書いていきます。

 

演出、背景知識

ギャグ漫画からバトル漫画へ

 本作は元々Dr.スランプなどと同様、ギャグ漫画で冒険漫画として展開されていたものの、次第にカンフーを中心とするバトル漫画へと移っていき、サイヤ人編からさらにバトル漫画としての傾向を確固たるものとしていきます。

 本作はジャンプのバトル漫画を代表する作品ではありますが、バトル漫画としては、ジョジョシリーズの3部のようにその後のモードを決定づけ、かつ画期的でバトル漫画を新たなベクトルへ向かわせたというよりは、昔からある成長小説的な、ただ強いほうが勝つというバトル漫画の様式に、主人公のパワーアップを演出する様々な要素をギミックとして積んでいて、そうした要素が画期的だったのでした。

スーパーサイヤ人、界王拳、パラメーター

 本作で特に印象的なのは界王拳、スーパーサイヤ人など、主人公のパワーアップを演出する要素で、これは『ワンピース』や『NARUTO』、『BLEACH』など、以降のさまざまなバトル漫画に継承されていきます。

 またサイヤ人編から、戦闘能力というパラメーターによる戦闘力の数値化がなされ、これはビデオゲームの影響があると思われますが、全体的にプロット自体もRPGのようで、主人公は先へ進むにつれてどんどん強くなっていくので、前エピソードに出てきた強敵も次の章では雑魚になっています。

 本作におけるパワーインフレ自体は作品の魅力の一環とも言えますが、バトル漫画一般に於いてはバトルの戦略性を損なうためにあまり歓迎されたところではなく、その後のバトル漫画はむしろ本作のようなパワーインフレをなるべく避けようとする傾向もあります。

そのデッサンとデザインセンス

 また鳥山明は漫画の演出、デザインセンス、デッサン力、どれをとっても天才的です。大友克洋とかよりも上ではないかと感じます。

 とにかく鳥山明はキャラクターのデザインセンスが垢抜けていて、どのキャラクターも非常に魅力的で、また確かな作者の作家性がデザインコンセプトの中に一貫して通底しています。

 正直、イラストレーターとしての才能だけで天下を取れてしまう器ですが、コマ割りなど、漫画の演出も抜きん出て上手いです。

物語世界

あらすじ

孫悟空少年編:地球の人里離れた山奥に住む尻尾の生えた少年孫悟空はある日、西の都からやって来た少女ブルマと出会います。そこで7つ集めると神龍が現れ、どんな願いでも叶えてくれるというドラゴンボールの存在を知り、ブルマと共に残りのドラゴンボールを探す旅に出ます。

 亀仙人の下で、クリリンとの修行、天下一武道会、ドラゴンボールの悪用を企むレッドリボン軍との闘いや、仙猫カリンの修行、孫悟飯との再再会、二度目の天下一武道会での亀仙流のライバルである鶴仙流の天津飯との戦いが描かれます。

ピッコロ大魔王編:天下一武道会終了後、ピラフ一味によって復活したピッコロ大魔王によって、クリリンや亀仙人など悟空の仲間たちや多くの武道家たちが殺されます。悟空は仇を討つため、ヤジロベーやカリンの協力を得て超神水を飲み、ピッコロ大魔王に勝利します。

 ほかに悟空の年齢的成長、牛魔王の娘チチとの結婚、ピッコロ大魔王の生まれ変わりであるマジュニアの対決が描かれます。

サイヤ人編:ピッコロ(マジュニア)との闘いから約5年後、息子の孫悟飯をえて平和に暮らす悟空のもとに、実兄ラディッツが宇宙より来襲し、自分が惑星ベジータの戦闘民族サイヤ人であることを知らされます。悟空はピッコロと手を組み、自らの命と引き換えにラディッツを倒すものほ、約1年後にはさらに強力なサイヤ人たちがドラゴンボールを求めて地球に来襲することを知ります。

 あの世の界王の下での修業、サイヤ人の戦士・ナッパとベジータとの戦いが描かれます。

・フリーザ編:サイヤ人との戦いの中で地球の神と殺された仲間たちを甦らせるため、重傷で入院中の悟空に代わり、悟飯、クリリン、ブルマの3人が神とピッコロの故郷ナメック星へ向かいます。そこには地球で闘ったベジータや、宇宙の帝王フリーザとその一味が不老不死を求めて来襲し、ナメック星人を虐殺しながらドラゴンボールを略奪していました。悟飯たちはベジータ、フリーザ一味とのドラゴンボールをめぐる三つ巴の攻防の末、後から到着した悟空とナメック星人たちの協力を得てナメック星の神龍ポルンガを呼び出し、ピッコロと地球のドラゴンボールを復活させます。

 これにフリーザは激怒し、一行は対決を強いられます。フリーザとの戦いと、覚醒するスーパーサイヤ人としての力が描かれます。

人造人間編:ナメック星での闘いから約1年後。トランクスと名乗る青年が現れ、自分は未来からやってきたブルマとベジータの息子であることを悟空にだけ明かすと同時に、悟空は心臓病によって命を落とすこと、3年後に現れる2体の人造人間が絶望の未来をもたらすことを告げます。その後心臓病によって危篤状態になるものの、トランクスから渡された特効薬によって生還、来るべき日に備えて修行するものの、事態はトランクスが知っている歴史とは大きく違うものとなり、未知の人造人間や、究極の人造人間・セルが未来から現れます。

魔人ブウ編:セルゲームより約7年後。高校生に成長した悟飯が天下一武道会に出場することを知った悟空はセルとの戦いで命を落としていたものの、自らも出場するために占いババの力によって1日だけこの世に戻ります。天下一武道会の最中、悟空たちは界王よりも高位の存在である界王神から魔人ブウの封印が解かれようとしていることを知らされます。復活した魔人ブウに悟飯やベジータが倒され、悟空はあの世に帰ったため、地球の命運は悟空の次男孫悟天と少年トランクスに託されます。

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