はじめに
冨樫『幽☆遊☆白書』解説あらすじを書いていきます。
演出、背景知識
画風
伊藤潤二作品のような、端正な線のデッサンが特徴です。コマ割りも洗練されていて、たとえば『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)の五部までがコマに視覚的情報が詰まりすぎていて分かりにくいのに対して、視覚的情報の提示は的確でコンパクトです。
とはいえ、絵はスタイルとして洗練されているものの、本作の前半の戸愚呂兄弟編まではあまり面白くありません。
ジャンル
伝奇に該当する内容で、『HUNTERXHUNTER』などとその点では共通です。
霊界や人間界を舞台に、霊界探偵の浦飯幽助らの活躍を描きます。アルジャノン=ブラックウッドに代表される、モンスターの特性をとらえてそれに対処するオカルト探偵ものの影響が強いでしょうか。
バトル漫画として
本作はバトル漫画ですが、作品のなかでバトル漫画としてのテイストが変化しており、それが途中の仙水編からです。
本作の前半の戸愚呂編までは、『ドラゴンボール』みたいなとにかく味方がパワーアップして倒すみたいな、強いほうが勝つ感じの王道バトル漫画であまりバトルに戦略性とかはありません。
しかし仙水編から『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)の3部の影響をうけ、『HUNTERXHUNTER』などにおいて序盤から展開される、単なる能力のパラメーターの優劣ではなく、バトル漫画の競技としてのルールを踏まえたうえでそのなかで戦略的駆け引きを展開するスタイルのバトル漫画のコンセプトが確立します。
なので『HUNTERXHUNTER』から幽白に入ると、仙水編までは味気ない印象を受けると思います。
物語世界
あらすじ
霊界死闘編(act.1〜17):主人公の浦飯幽助は、車に轢かれかけた子供を助け、死にます。しかし、幽助の死は霊界にとって予想外で、幽助は生き返るための試練を受けることになり、霊界案内人のぼたんと霊体として活動します。
霊界探偵編(act.18〜51):生き返った幽助は、ぼたんと共に妖怪が人間界で起こす悪事を取り締まる霊界探偵なります。幽助は霊感の強い同級生桑原和真、当初は敵だった妖怪蔵馬と飛影らと協力します。
暗黒武術会編(戸愚呂兄弟編)(act.52〜112):闇世界で開かれる妖怪たちの死闘「暗黒武術会」のゲストに浦飯幽助、桑原和真、蔵馬、飛影が選ばれます。拒否権は無く、暗黒武術会会場「首縊島」へと向かい、戦います。
魔界の扉編(仙水編)(act.113〜153):蟲寄市近辺で特殊な能力を持つ人間が出現する事件が起こります。それは魔界と人間界を繋ぐ界境トンネルが開く予兆でした。人類抹殺を企む元霊界探偵の仙水忍は、界境トンネルを完全に開こうとします。その計画を阻止するため、仙水に協力する能力者たちと、幽助たちは戦います。『デビルマン』などへのオマージュが顕著です。
魔界統一トーナメント編(魔界編)(act.154〜170):仙水との戦闘で、妖怪の血を受け継ぐ魔族であることが分かった幽助は、先祖の雷禅に招かれ魔界へ向かいます。雷禅の死後、幽助は魔界の王を決めるトーナメントを開催します。
それぞれの未来(act.171〜175):魔界から帰ってきた幽助は探偵業を再開します。
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