大島弓子『バナナブレッドのプディング』解説あらすじ

1970年代

はじめに

大島弓子『バナナブレッドのプディング』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

花の24年組

 大島弓子は、萩尾望都、山岸凉子、竹宮惠子と並び、少女漫画界において「24年組」と呼ばれる一人です。

 といっても、萩尾望都と竹宮の2人はともかく、この4人はそれほど作家性を共有するわけではなく、大島弓子も他の三人と作家性はそれほど重なりません。けれども、心理リアリズムを創作の中心に据えるという点に於いては、萩尾、竹宮と大島弓子はやや重なります。

思春期の複雑な心理

 本作は思春期の心理の複雑性を描きます。

 作中、主人公の三浦衣良は転入先の高校で幼馴染みの御茶屋さえ子と再会します。衣良は両親との関係をうまく築けず、信頼している姉の沙良が結婚することから情緒不安定です。さえ子は衣良の理想の男性が「世間に後ろめたさのある男色家」であることを知り、異性愛者である兄の峠を理想の男性として衣良に紹介します。心の平静を取り戻した衣良に安心し、沙良は結婚しますが…という内容です。

 全体的に、理想化傾向が強く、パートナーに極端な理想を要請するヒロインの衣良の精神的混乱と、「世間に後ろめたさのある男色家」ではない峠との関係修復までが描かれます。

 

物語世界

あらすじ

 三浦衣良は転入先の高校で幼馴染みの御茶屋さえ子と再会します。衣良は両親との関係をうまく築けず、信頼している姉の沙良が結婚することから情緒不安定です。さえ子は衣良の理想の男性が「世間に後ろめたさのある男色家」であることを知り、異性愛者である兄の峠を理想の男性として衣良に紹介します。心の平静を取り戻した衣良に安心し、沙良は結婚します。

 さえ子は峠に事実を告げ、衣良の両親を説得し、衣良と峠を結婚、同居するようになります。衣良が「世間に後ろめたさのある男色家」と表面上結婚し、峠が「男色家」であることを隠すという役割を衣良に持たせ、生きがいを持たせようとします。

 やがて男色家で峠に片思いをしているサッカー部の奥上大地や、奥上と同性愛の関係にある大学教授の新潟健一らも関係していきます。衣良は峠を次第に好きになっていくものの、峠が男色家だというのが嘘だったことを知り、本当に世間に後ろめたさのある男色家である教授のために生きようと、教授の家で同居しますが、2人の関係はうまくいきません。

 ある夜、教授をナイフで傷つけた衣良は、教授を殺したと思い込んで家を飛び出し、峠の家に逃げます。いつか峠を殺してしまうのではないかと怯える衣良に峠は、そんなときは飛び起きてミルクをわかしてあげると答え、衣良への愛を告げます。

 ふたりはふたたび一緒に暮らし始めます。

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