大島弓子『ダリアの帯』解説あらすじ

1980年代

はじめに

大島弓子『ダリアの帯』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

花の24年組

 大島弓子は、萩尾望都、山岸凉子、竹宮惠子と並び、少女漫画界において「24年組」と呼ばれる一人です。

 といっても、萩尾望都と竹宮の2人はともかく、この4人はそれほど作家性を共有するわけではなく、大島弓子も他の三人と作家性はそれほど重なりません。

 けれども、心理リアリズムを創作の中心に据えるという点に於いては、萩尾、竹宮と大島弓子はやや重なります。また、本作に見えるファンタジックな設定も他の三人とやや重なりもします。

ファンタジー

 本作は『四月怪談』同様、作者の夢が元になって生まれたものです。

 夢への着目も精神分析などの心理学、精神医学的潮流に着目し、心理リアリズムを展開する大島弓子らしいといえばそうですが、本作は前半はリアリズムで展開されるものの、終盤は霊となった只野一郎が、昔と同じように若いヒロインの黄菜に話しかけ、精神疾患による黄菜のひとりごとはこの世の有形無形森羅万象との会話だったのだと悟るという、かなりナンセンスでスピリチュアル色の強い内容になっています。

物語世界

あらすじ

 只野一郎は黄菜と若くして結婚したものの、3年後の現在では平凡な生活に飽きています。

 黄菜は階段から転落して流産し、奇行が始まります。奇行はエスカレートし、一郎は日常生活でも仕事でもストレスになります。医師からはこれは進行性の病気でやがて何もかも忘れてしまう可能性もあると言われ、一郎の母親からは離婚を勧められます。

 しかし、現実から逃げることをやめようと決意した一郎は会社を辞め、山奥の家で黄菜と自給自足の生活を始めます。やがて黄菜は一郎を認識できなくなり、誰もいない空間に話すようになります。

 一郎は60歳で突然死するものの、霊となった一郎が昔と同じように若い黄菜に話しかけると黄菜は答えてくれます。一郎は、黄菜のひとりごとはこの世の有形無形森羅万象との会話だったのだと悟ります。

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